先日、寸止めに関する日記を書き殴ったところ、コメント欄にて女性の方々から 「じゃあ逆に、男の人は寸止めされたらどんな気持ちなんですか?」 という声が寄せられ、僕は思わず 「ははあ……」 と感心の嘆息を漏らしてしまった。男に対する、寸止め。それは実にナイスな着眼点。   かいつまんで先の寸止め日記の概要と反響を整理しよう。 『男の人ってセックスのときに何かやたらと寸止めしたがるけど、ぶっちゃけ気持ちよくないしマジで意味が分かんないから』 実に心に響く現実であり、僕としてもチンコの先がパックリ二つに割れるほどの衝撃を受けた。 では、逆の立場ならどうなのか。それはつまり 『男が寸止めされたらどうなのか?』 ということである。仮に女性の放つ 『寸止めよ、爆散せよ』 という心のシャウトが男性側にも当てはまるのであれば 「ハァ?寸止め?バカ言っちゃけない!」 ということになろう。それが議会制民主主義からの帰結である。 しかし肉体国会の場面において四角四面に物事が運ぶケースは稀だ。女性が寸止めをイヤがっているのだから、男性だって!――という声、なるほど確かに一理ある。が、この世の真実というのは往々にして不合理かつ不可解なものだ。 『女がイヤだと感じるからといって、男もそうであるとは、限らないよ?!』これが肉体国会で野党から放たれる生々しい本音である。それは差別ではなく区別、あるいは "性差" の話だ。男と女は似て非なる生き物だというべきだろう。 寸止め、有効です!まず、世の中に蔓延る寸止め (for men) は基本的に二つに分けることができる。皆さんはもちろんのことご存知かと思うが、おさらいしておくと 『他人からの寸止め』 と 『セルフ寸止め』 の二者だ。 前者は女性 (あるいは、男性) と肉体言語で語り合っている最中、すわ逝きそう!という段階にピタリ……とその手 (ないし舌、膣、菊)の動きを止められる行為である。我々が人生において 「ああん、いけず!」 「堪忍やで!」 などのエロ・タームを叫ぶ数少ない状況であろう。 さて、後者。これはすなわち 『(主に男性が) オナニーがフィニッシュしそうになった瞬間、ピタリ……と己が手の動きを止める行為』である。主体も自分、客体も自分、世界を一人で完結させる永久機関が如し寸止め――それがセルフ寸止めなのだ。お分かり頂けたであろうか。 「なぜそんな無為な真似を?」 当然、そんな疑問を抱かれる方もおられるだろう。特に女性サイドとしてはその想いが強いかもしれない。 『えっ、イクんならさっさと終わらせればいいじゃん?!ココがどうにかなっちゃってるんじゃないの!?(人差し指で脳天をトントンと叩きながら)』 その声は、なるほど、男性のオナニーを "射精" という一点のみから評価すればするほど、論理必然に生じてしまう声なのかもしれない。 皆さんは "力石徹" というボクサーをご存知であろうか。往年の名作漫画 "あしたのジョー" に登場する人気キャラである。ご存知の通りボクサーという稼業はかなり過酷なトレーニングを強いられるのであるが、力石徹も主人公・矢吹丈との決戦を前に前代未聞の減量を敢行することとなる。 食事制限は無論のこと、水分の摂取さえままならない日々。それでも力石の体重は減ろうとしない。ジョーとの対戦の日は刻々と迫ってくる。挙句力石のもとに訪れたのは、そう、過度な減量からくる禁断症状だった。ドアをぶち壊し、水を求めて走る力石。やがて彼の眼前に水場が立ち現れる――! が、その刹那。力石が目にしたのは、ガチガチに針金を巻かれ使用不能となった蛇口であった。そんな力石の姿を見た葉子 (力石所属ジム会長の孫娘)は、彼にコップ一杯の白湯を差し出す。その白湯は力石の目にどれほど、嗚呼、どれほど……美しく輝いて見えたことであろう。どれほどその白湯を飲み干したかったことだろう。それはきっと、常人には計り知れない境地。同じ状況に立たされた場合、我々のうちの99.99%は目の前の白湯を飲み干してしまうに相違ない。 しかし常人ならぬ力石は、白湯を前にして決然と言い放った―― 「そのお気持ちだけありがたく飲ませていただきます」 この流れの中で唐突にオナニーの話に戻ると全国の力石ファンに灰になるまでブチ殺されそうなのですが、ここはひとつ強い心でオナニー・トークを再開する次第です。女性の皆さんもお察しの通り、我々男性の多くが抱える "射精欲" というのは一種凄まじい欲求であり、これに抗うことは容易なことではない。だからこそ若い時分、僕たちメンズは、猿もかくや!の勢いでオナニーに傾倒し、一日でもオナニーをしない日があれば目はうつろ、呼吸は荒くなり鼓動は高まり手は震え、最終的には新宿西口でのホームレス生活が始まる。それくらいオナニー欲、射精欲というものは、強く激しい。 だが、だが。そのように熱く強烈なリビドーであるからこそ、己に一定の "制約" を課すことで逆説的にその愉悦が高まることもある。 "空腹は最高のスパイス" という言葉があるが、これはつまり『大した料理じゃなくても、腹が減っていればいるほど美味しく感じられる』 ということだ。ここでの空腹というのは、換言すれば『食事を摂らず(摂れず)に我慢している状態』 となる。いわば "制約" だ。 もうお分かりかと思うが、セルフ寸止め、それは『射精直前に敢えて射精欲を抑え込む(≒制約)ことで、後に待ち受けるフィニッシュをサイコーのものに仕立てたい!』という気持ちの現れなのだ。僕たちは観念的な針金を、己が肉蛇口に縛り付けているのである。大胆な物言いをすると、セルフ寸止めを敢行しているとき全ての男は力石徹のマインドになっている。 しごいては、止め。 またしごいては、止め。 僕たちはほとんど暴力的なまでに高まった己が射精欲と向き合い、戦い、そして征服する。男はひとり、加藤鷹の口調で 「んー?イキたいのぉ?」 と自分に語りかけ、同時に瞳リョウの声色で 「お願い、もうっ……」 と自分に哀願し、かつそれと平行し、チョコボール向井の声帯で 「ダメだよぉ、まだイっちゃダメだよぉ」 と自分に命令する。トーク・トゥ・マイハート、僕らはこうして女心を学んできたものである。泣ける話じゃありませんか。 長い枕になったが、つまるところ僕が強調したいのは 「男に対する寸止めは至極有効である」という点だ。もちろん全ての男に対して実効的とは断言できないが、おそらくセルフ寸止めを経験したことのある男性にはかなりの攻撃力を発揮するだろう。また、僕の見立てによれば、大和男児のセルフ寸止め経験率はおよそ8……否、9割は固い。試しにあなたに近しい男性に 「ねえ、セルフ寸止めってしたことある?黒ハート」 と問うて見れば良い。確実に脳を疑われる。 ここで唐突にお便り紹介のコーナーです。 ・・・ 【こまこ さんから寄せられたお便り】 肉欲棒太郎さん、こんにちは! 時々楽しく読ませていただいております。 (中略) 男の人は何でそんなにフェラが好きなんですか??私の彼氏はコトに及ぶ度にお願いしてきます。……最近は私の上達につれて出したらそこで行為が終わっちゃう事もしばしば。断ると、私のを舐めることでフィフティ-フィフティに持ち込もうとしたり、あからさまにガッカリされます。……フェラしたくない時の効果的な断り方ってあるんでしょうか?棒太郎さんならどんな風に断られたら納得できますか?? ・・・ この彼氏、紛うことなきゲス野郎……もとい!野生味溢れる男性ですが、同様の悩みをお抱えの女性も割と多いのでは。『彼ってばフェレイシオを要求するばかりでちっとも挿入してくれないの!とてもサノバビッチ!』 という声、先月号の "めばえ" に掲載されていた気がしません。いま、フェレイシオに対する関心は相当に高い。 生物としての構造上、男性は一旦フィニッシュをしてしまうとEタンク (エネルギータンク、睾丸) が空になってしまうため、すぐさま活動の停止を余儀なくされる。稀に 「連続プレイも全然平気だよ!」という剛の者もいるけれど、おそらく大半の男性は 「すぐに二回戦はちょっと……」 と思っているであろうし、ことによると「ふう、終わったら帰れよ」 というチンカス……もとい!本能に素直な声を上げる方もおられるだろう。人間模様はそれぞれである。 ここで思い返して欲しいのは、そう、寸止めテクニックだ。女性に対しては何らの効果もなかった寸止め、これを男性に対してぶちカマしてみれば、あなたはそこに、嗚呼そこに!アヘ顔で 「い、イカせてくれぃ――!」 と懇願する男子のフェイスを見ることだろう。かつ、寸止めの回数を二回、三回……と増やすにつれ、彼はあなただけのマリオネットに成り下がる。ソースは、俺だ! ・・・ 【Nさんの場合】 ・チュパチュパ、チュパカブラ ↓ ・アッ、も、もう…… ↓ ・寸止め ↓ ・そ、そんな!頼むよ! ↓ ・ペチョパチュン、ヌッヌッヌッ ↓ ・ウッ、こ、今度こそもう…… ↓ ・寸止め ↓ ・後生や!堪忍しておくんなまし! ↓ ・ヌルルンママン、シーサイド・ジェット・シティー ↓ ・いやぁぁぁぁ!!も、もう無理ぃぃぃ! ↓ ・『イキたいの?イキたかったら自分の精子を飲むことね』 ↓ ・無理ぃぃぃ!堪忍やでぇぇぇ!! ↓ ・寸止め ↓ ・ギャアアアア!!ギャアアアアアア!!! ↓ ・『飲むのよ』 ↓ ・イエス、イエスユアハイネスゥゥゥゥ!!! ↓ ・肉石徹、自らが産出した白湯を飲まされるでござる の巻 ・・・ このブログは実兄並びに実父も閲覧しているため多くは語らない、語りたくないが、とにかくもあの夜、度重なる寸止めをカマされた僕はほとんど判断能力を喪失していたといえる。イケるなら、イカせてもらえるのであれば!もう、どうなっても構わないんです――あの日の僕は、確実にそんなマインドになっていた、手の平の上の孫悟空状態に陥っていた。その結果、自分の本気汁を飲んだ、嚥下した。クソッ!ちなみにこのエピソードは未だ誰にも話したことがない。理由は単純に死にたくなるからである。お察し下さい。 ということで、こまこさんからのメールを受けて「フェレイシオを断るにはどうすべきか?」 ということを真剣に考えてはみたものの、結論としては 「キッパリと断る」の一択しか思い浮かばなかった。が、それをハッキリと明言できるのであれば、そもそも件のメールなどお送りにならなかったであろうし、中身を持たない正論ほど虚しいものもない。 そうであれば、むしろ発想を変えて 「どうやってフェレイシオからセックスに持ち込むのがベターか」 を考えた方が建設的ではないか?と感じたため、敢えて寸止め的側面から質問に答えた格好である。僕の日記がこまこさんの参考になれば幸甚。 ちなみに、上手いこと寸止めがサクレツした際、そのこうかは ばつぐんだ!というのは先に述べた通りでありますが、仮に寸止めが失敗した場合、割と本気でヘコまされると申しますか、ヘタしたらフルチン状態でブチギレたりする方もいたりして、まあ僕なのですが、当時の彼女がチンのポコ部分を散々に弄んだ挙句、何かひどく微妙な刺激でフィニッシュを迎えてしまい、失礼な話まったく気持ち良くなくてですね、それでも射精に対する期待値は右肩上がりだったわけで、その期待を見事に裏切られた僕は「ちょっとキミ何を考えていらっしゃるの?!そもそも男のフィニッシュというのは」 と、半裸状態で 『男の射精論』をブチ上げ、キョトンとした彼女は 『意味分かんないし』との台詞を残し、背中を向けて眠りに落ちた結果、翌日の朝はかなりしょっぱい雰囲気になった……という事実をお伝えしておきます。何事も修練が肝要、ということなのかもしれませんね。フフ。